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理科系の備忘録

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マーク・ピーターセン著「日本人の英語」よりoverとaround

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

マーク・ピーターセン著「日本人の英語」を読んでいる.この本は,日本人が英語を考える上での問題点とネイティブが英語を使う上での思考を流暢な日本語で解説している.

私は,前置詞の論理的な用法を学校であまり教えてもらえなかった.この単語の後にはこの前置詞を置く,この単語の前にはこの前置詞を置く,という様に表現ひとつひとつを暗記していた.もちろん「inは中」,「onは触れている状態」など漠然とした理解はあったが,慣用的な表現における前置詞の利用は完全に暗記物だと考えていた.

マーク・ピーターセン先生によれば,慣用表現の中にも前置詞の利用には一貫した論理が通っているという.以下の前置詞

  1. inとon
  2. outとoff
  3. overとaround

について分かりやすく解説がされていた.

overとaroundの違いはそれぞれの回転軸にある.例えば以下の様な例文が掲載されていた.

The chimpanzee turned the box over and over.
The chimpanzee turned the box around and around.

一つ目の例文を和訳すると「チンパンジーは何度も何度も(軸を水平方向に)箱を回転させた.」となる.二つ目は「チンパンジーは何度も何度も(軸を垂直方向に)箱を回転させた.」となる.それぞれの前置詞では箱の回転方向が異なる.

以上のことを理解すれば,以下の様な例文も明確に区別できる.

The horse got over the obstacle.
The horse got around the obstacle.

すなわち,一つ目の例文では「馬が障害物を飛び越えた」となる.それに対して二つ目の例文では「馬が障害物を避けた」となる.

さらに,慣用的な表現でも前置詞の論理的一貫性が保たれることを紹介している.

He got over his fear of heights by taking parachute training.
He got around his fear of heights by refusing ever to leave his one-story house on the beach.

水平軸を中心とした弧のように困難を乗り越えるのか,それとも垂直軸を中心とした弧によって困難を避けるのかで,どちらの前置詞が使われるかが決まる.

前置詞以外の章でも,大変わかりやすい日本語で,英語的な考え方を面白い例文を用いて説明してくれる.英語の勉強という意味だけでなく読み物としても非常に面白いのでおすすめ.